アサーションは、社会生活において対人関係を円滑にするため上手く自己主張し、他人と良好な関係を築けるように考え出された手法です。

アメリカでは1960年代の社会情勢として公民権運動が起こっていましたが、当時の社会的弱者を助け救済する一つの手段としての自己表現方法が話題に挙がっていました。

自己主張(アサーション)の大切さについて

 社会生活を過ごしていると人は様々な場面に遭遇しますが、アサーションとは、その場所や時間など状況を考慮して、適切な対応方法で自分の考えや思い・気持ち・意見などを相手にわかりやすくストレートに伝達する自己表現のことをといいます。

 自己表現の上手下手は、対人関係だけでなく最終的には本人の精神状況にも大きく影響を及ぼします。

なぜなら、自己表現を上手くできない人は、理不尽な要求や話しにも上手く反論できないので、自分の感情を押し殺すことで、心の中に不満が徐々に鬱積し、最終的には大きなストレスとなり問題が発生する引き金になってしまいます。

なので、自己表現を状況に合わせて適切に上手くできるかどうかは、メンテル面を良好に保っていくためには重要なことです。

 また、メンタルヘルスの観点だけでなく、適切に自己主張ができる方は、仕事や家庭面でも良い方向にいくことが期待でき、人間関係や金銭面でも社会から多くの利益を得られる可能性が高くなります。

自己主張の上手下手による本人の利得など社会生活での影響を考えると、自己主張を上手くできない場合は、良好な対人関係を築けず社会から孤立するケースが多いので、有益な情報を得られる機会が少なく、本来であれば手にできたはずの様々な利得を得られなくなってしまう可能性が大いにあります。

一方、自己主張を上手く適切にできる場合は、他人とも良好なコミュニケーションを図り多くの人と知り合うことができますし、また生き生きとした人間関係も築けるので、他人から様々な情報や気付きのヒントを得ることで、人生にとっても利得を得られて大きなプラスに繋がります。

適切な自己主張(アサーション)の程度による結果とは

自己主張が適切に上手くできるか?という観点で考えると、
  • できる場合
    ・良好な人間関係を築き発展させることが可能
    ・知り合った他人から沢山の有益な情報や気付きのヒントを得られる
  • できない場合
    ・社会的に孤立する可能性が高くなる
    ・不満やストレスを抱えメンタル面に悪影響を及ぼすこともある

 このような結果から、社会生活を快適・円滑におくる為には、その場の状況に合わせて自己主張を適切にできる技術を修得する必要もあるので、近年はアサーション・トレーニングが頻繁に実施されています。

また、はい、いいえという二者択一の答えだけでなく、自分が悩み迷っている思いや気持ちも正直に相手に話して伝えることができるのが本来のアサーションといえます。

自己表現には3タイプがある

 アサーション・トレーニングでは、自他ともに尊重し大切に扱うための自己表現の方法や、良好な人間関係を築けるように、3つの自己表現のパターンを学び技能訓練を行いスキルを修得していきます。

主張的(アサーティブ)ではないコミュニケーションの具体例を挙げると、納期が迫り仕事が立て込んで忙しい時に、自分と関係ない他人の仕事を会社の上司が応援するように指示してきた時の対応や態度について考察してみます。

1. 非主張的表現

 上司に無理を言われても遠慮があり、どんな指示事項に対しても自己の意見を主張できないタイプです。

指示・依頼・要求されたことは全て対応すべきと思い込み、過剰に負担を抱え込んでしまいます。

自分の意見や考えをはっきり言わないので、他人からは気持ちをわかってもらえずに不満やストレスが蓄積していきます。

  • 表現:
    はい、了解しました。すぐ取り掛かります。
  • 納得感:
    自分はNG、相手はOK
  • 態度・考え方:
    自己否定的、卑屈、服従的、相手任せ

2. 攻撃的表現

 上司が話そうとする間を一切与えず一方的に自分の意見や考えを主張し続けるタイプです。

自己の意見や考えをはっきり主張するが、上司の立場や状況を考えず配慮もしないので、誹謗中傷する言葉を発したり、対立関係に陥ったりすることがあります。

  • 表現:
    今は仕事で手一杯なので応援できません。私に頼まないで別の社員に言って下さい。
  • 納得感:
    自分はOK、相手はNG
  • 態度・考え方:
    他者否定的、尊大、支配的、相手に指示

3. 適切な自己表現(アサーション)

 上司の立場や状況を考慮しながら自分の仕事の進捗状況を的確に説明し伝達することができるタイプです。

相手を無視して一方に自己主張することがないので感情的にならず、相手と揉め事を起こしたり、自分自身に精神的な負担を抱えることがなくストレスも溜まることがありません。

  • 表現:
    今日は仕事が忙しいのですが、落ち着いたら明日でも応援に入ります。
  • 納得感:
    自分はOK、相手はOK
  • 態度・考え方:
    自他尊重、率直、歩み寄り、自他協力

アサーションの訓練内容について

 アサーティブでない非主張的表現、攻撃的表現のような態度をとるタイプは、勝手な自分の考えや相手を決めつけて行動し、相手とじっくりコミュニケーションを交わすことが少ない方が多い傾向にあり、心の中では、いちいち説明しても意味がない、良識人でなければいけない、反論してはいけない、成功させないといけない、などの考えを持っているようです。

しかし、このような自分勝手な考えや思い込みは適切・合理的な態度ではないので、アサーション・トレーニングにおいては、このような適切・合理的でない考え方を是正・改善していきます。

 また、適切な自己表現ができないのは、自己主張すべき場や状況なのか、そうでないのかを的確に見極めることができないことが原因となっているケースもあります。

なので、根本的原因が何かを明らかにして訓練を進めていくことが、アサーション・トレーニングでは重要になります。

行動療法の考え方に沿って表現技術をアップさせる訓練プログラムがアサーション・トレーニングには導入されています。

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