現在の精神科では、抗精神病薬による薬物療法が治療における重要な一手段となっています。

これは、医学が大きく進歩したためで、昔は精神病に有効な薬は創り出せないと言われていました。

薬物療法による精神科治療について

 世間から患者を隔離するのが精神病に対する治療方法だという負のイメージが長い歴史上の事実も重なって、今でも多くの人々の心に焼き付けられています。

当時は、「精神病を治療できる薬はこの世に存在しない」ということが医学分野でも一般的な認識であったために、実際、患者に対するカウンセリングも実施されていませんでした。

しかし、患者を隔離するというやり方は、精神的に苦しみ病を患っている当事者からすると、苦痛以外の何物でもありませんでした。

 その後、クロルプロマジンという物質がフランスで1952年に発見されて以降、精神病疾患を薬で改善できるという治療効果が認められ、患者にとって薬物治療は何事にも代えがたい恩恵をもたらしてきました。

そうは言っても薬物治療の歴史は、わずか60年程度で、まだまだ新しい領域ということもあり、専門家の間でも精神病の治療法として主として用いるべきか、補助的に用いるべきかについて、現在も様々な議論が巻き起こっているのも事実です。

ですが薬物研究は、心理療法を行う際も、精神病の具体的な病状を明きらかにする観点からも、決して外すことのできない重要な研究対象となってきています。

抗精神病薬とは何か

 精神弛緩剤や強力精神安定剤のことを抗精神病薬と呼びます。

向精神薬にはいろいろな種類がありますが、この内、抗精神病薬は認知症の症状緩和、躁病、統合失調症、症状精神病などの治療に使用されています。

薬効としては、陽性症状である妄想や幻覚などに効果があり、脳幹、大脳、ドーパミン(神経伝達物質)に働きかけ作用するといわれています。

また、陰性症状である意欲減退、感情鈍麻にも効果があることも近年の研究により明らかにされてきました。

但し、向精神薬を投与する際に、意識障害や自律神経障害(発熱・発汗・頻脈)など重い病的な状態に陥る悪性症候群を誘発する副作用もあるため、患者の病状や心身状態を的確に把握し、投与する場合は慎重を期す必要があります。

以上のように、抗精神病薬は、安易に使用できる薬ではありませんが、精神科の治療手段としては重要で必要不可欠な治療方法となっています。

抗精神薬の種類・作用・効果について

向精神薬 薬物種類 対象の精神疾患 作用
精神病
治療薬
抗精神病薬 統合失調症、 うつ病 妄想、幻覚の除去
抗うつ薬 うつ病 等 抑うつ状態の改善
抗不安薬  心身症、 神経症 緊張感、不安感の除去
睡眠薬 不眠症、 うつ病 睡眠の誘発と持続
気分安定薬 躁うつ病 躁状態の改善
精神刺激薬 過眠症、 AD/HD(注意欠陥/多動性障害) 活動性、精神機能の向上
催幻覚薬

リエゾン活動とは何か

リエゾン精神医学について

 精神医療の現場では、リエゾン精神医学と呼ばれる精神医療が発展してきています。

アメリカの総合病院において、1902年に精神科が最初に設置されたことがリエゾン精神医学の始まりになります。

これは、精神医療以外の関係者や診療科の専門家と精神医療に携わる専門家とがチーム連携し、医療サービスを組織だって提供していこうとするものです。

 現在の総合医療では、身体上における病気治療を行う際に、精神的にもいろいろな疾患が現れてきます。

病気や治療の際に痛みや苦しみで精神的ストレスを抱え心が追い詰められるために起こるわけですが、治療するには心身共にトータル的に治療することが必要になるので、リエゾン精神医学の考え方は必要不可欠になっています。

このような考え方や取り組み方は、アメリカで1900年初期にも、「身体上の病気疾患に対して明確な診断結果を下せなくなった場合は、精神的疾患が影響していることもあり、精神科専門医に相談している医師も多いので、最低限1人以上の各診療内容を熟知した精神科医を総合病院には、置くことが望ましい。」という論文でも示されていました。

リエゾン心理士が果たすべき役割とは

 リエゾンは、チーム連携による医療サービスを行っているがんを始めとする難病治療の医療現場で重要になります。

もし、患者に対してがん告知をするかどうかなどで行き違いなどが起こると、医師や関連スタッフに対して患者が不信感を持ち、患者側と医療提供側とが対立してしまう可能性もあります。

これでは、患者と医師などが信頼し協力し合いながら病気を治すという本来の目的が置き去りにされてしまう恐れがあるので、このような事態を防止するためにはリエゾンは重要になります。

 

その点、精神的な苦痛や不安を和らげることができる技法を心得ている心理専門家がリエゾン活動を行うことで、医療従事者と患者・家族が密に連携・協力し、病気治療に集中して取り組むことができます。

以上のような役割を果たす臨床心理士のことをリエゾン心理士とも言います。

 リエゾンの考え方では、難病患者を中心にして、身体科医や看護師、精神科医や臨床心理士などが、チームを組んで連携(フランス語:リエゾン)し、トータルな医療サービスを提供していきます。

3つのリエゾン心理士の役割とは

  1. 心理療法の専門家としての役割:
    身体的な病気治療が心理的な問題がネックとなり改善しない患者に対して、メンタルケアの専門家の立場で心理療法を行い援助します。
  2. 精神科専門スタッフとしての役割:
    医学的な知識を習得し、心理療法を施しても治療効果が認められない身体疾患を見極めるために、精神科に患者を紹介することもあります。
  3. コーディネーターとしての役割:
    コーディネーターとして、病院の医師や看護師などの医療スタッフと、患者さん、その家族などの間に立って病気の治療がスムーズに進めれるように調整していきます。
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